神様は、不公平だ。
私にばかり、現実を見せては現実逃避させてくれない。
したくても、できない。
私は、いらない人間。
必要となんかされていない。
「、」
もう、私を呼んではくれない。
「何でしょうか?日番谷隊長」
そして、私も呼べない。
「これのついでに、雛森に“今日はいけなくなった”って
伝えてもらっても良いか?」
それ故に、感情は水の中に沈んだまま。
「わかりました」
もう、笑顔で見ることは出来ない。
大好きな筈だった。
2人のことを、尊敬して、追いかけて、ここまで来た。
2人と一緒にまた、歩んで行けるんだと思っていたのに。
1つの感情が、そうさせてはくれなかった。
妬ましい思い____嫉妬
呼んでもらえない_______悲哀
私が2人の中に居ない_______疎外感
1つの感情が、好きという恋心が、こんなにも醜い私を作り出した。
「雛森副隊長」
いつも太陽のように明るく私に接してくれる。
それが、とても幸せだった。
とても嬉しかった。
「あ、ちゃんっ!入って入って!」
姉のように慕い、信頼し、尊敬していた。
「いえ、これを渡しに来たのと、あと日番谷隊長からの伝言です。
今日はいけなくなった、とのことです」
「そっか、うん、わかった。日番谷君に了解!って言っておいて」
ニコっとする笑顔は、昔と変わっていないはずなのに
どうしてか、眩しすぎて目を瞑ってしまいそうになる。
あの人の好きな方は、この人だから__________
ざーざーざー
さっきまで晴れていたはずの空が、急に曇りだし雨が降り出した。
ばしゃばしゃ
私が足を前に出すごとに、水が跳ねて裾に飛び散る。
傘もなにも持っていなかったため、全てがずぶ濡れ。
重要書類も何も持っていなかったことが不幸中の幸い、というやつなのか。
それから無になって、歩いた。
どこを目指すわけでも、何をするわけでもなかった。
「大、嫌いッ」
顔を上に上げ、かすれるような声で呟いた。
消えてナくなれば良いと、何度思ったことか
大嫌いだから、もう大嫌いだから
だからお願い。
こんな醜い感情、水に沈めてください。